iPodのバッテリーが寿命を迎え、携帯用MP3プレーヤーの無い生活が続いていたのですが、
今年は「フロフロ2015」として何にでもチャレンジすると決めたので(例:サシ飲み、ジョギングetc.)、
勢いで買ってみました。
で、折角なので、妖怪きのこ(妻)に彼女の持ち物であるCDから1枚選んでいただき、
リッピングの後プレーヤーに突っ込み、通勤時間にそれを聴いて感想をブログに書く、
という企画(?)をやってみることにしました。
今日はその第1回です。
group_inou「FAN」(2008)
1. QUEST
2. LISTEN
3. COMING OUT
4. PLANT
5. MAYBE
6. RALLY
7. SHIP
8. FALL
9. NUDE
10. LISTEN (FUN VERSION)
“group_inou(グループイノウ)は、2003年に結成されたトラック担当のimaiとMC担当のcpからなる音楽ユニットである。……主にエレクトロ・ヒップホップ関連の曲を発表している。”(
http://ja.wikipedia.org/wiki/Group_inouより)
このユニット自体はyoutubeで何曲かと、
サードアルバムの「_(アンダーバー)」を聴いたことがありました。
group_inouの特徴は3つあります。
1つ目が独特のリズム感。
↑はサードアルバムのリードトラック「ZYANOSE」(チアノーゼ)ですが、
トラックは3小節のループなのにボーカルとコーラスが4小節のループで、
それがズレていったり戻って合わさったりするのがとても心地よいです。
(音楽用語が分からず、上手く説明できないのが悔しいですね)
このテクニックに限らず、トラック・ボーカル双方で
「おっ、そうくるか」というような意表を突いたリズムが時おり出現します。
ニコニコ動画のコメントなどでは「変態的」などど言われているようです。
(昔、「マキシマム・ザ・ホルモンが変態的かどうか」をめぐり、
mixiのコミュニティで揉めている人を見たことがあるので、この話はここで終わりです)
2つ目が機材。
“結成から4年間、ELECTRIBE(EM-1、ES-1)だけでライブをしてきました。ELECTRIBEは戦友です。”(
http://www.korg.co.jp/Product/Dance/welove/index1.htmlより)
↑上がEM-1、下がES-1です。おそらく前者がメロディとベースライン、
後者がリズムを担当しているはずです。
上記の発言では「ライブで」とありますが、
アルバム制作にもかなり使われています。
実際に同じ機材を用いてgroup_inouの曲を再現している
動画がニコニコ動画などにありますので、ご参照ください。
さて、3つ目の特徴であり、group_inouを好きになるかどうか最大の分かれ道が、歌詞です。
group_inouの歌詞について考える前に押さえておきたいのが、
世の中には「ラップだから聴かない」という人がいるという事実です。
自分もかつてはそうでしたし、聴かない理由もきっと「今まで聴いてないから」ぐらいの
大した理由ではなかったと思います。
自分に「語呂合わせや言葉遊び、韻を踏むことの楽しさ」を教えてくれて、
「ラップでもいいじゃん!」と思わせてくれたのはスチャダラパーと口ロロ(クチロロ)
だったと思います(正確には「聖おじさん」と「00:00:00」です)。
さて、group_inouは上のラップの楽しみのいわば「極北」だと
自分は勝手に思っています(「○○がいるだろ」というご意見お待ちしております)。
普通の歌謡曲では歌詞には意味があって、物語や伝えたいことがある訳ですが、
彼らの場合はそういった意味性・物語性が非常に希薄です。
非常にふわっと、タイトルが示すテーマに関連する語句をすくい取って、
それらを文法もルールも関係なく、前述の「楽しさ」を最大化するために並べていきます。
渾然一体 コップ一杯
侠義と狂気は 表裏一体
疲れた身体に花
しぼんだつぼみと荒れた肌
なんとなく なんとなく
なんとなく 憂鬱
円 輪 輪 輪 ループ ループ
円 輪 輪 輪 ループ ループ
(04.PLANT)
ペッと唾はき 殺しの文句
指先一つで超能力
砂浜に描く 理想 波が消す
期待は最高値を継続
水面にたゆたふ 伸び伸び
ノープラン バカンス 飛び乗り
ジ・ヘブン ヘブン
夢 也 全部
(07.SHIP)
そして ぼくら なぜか いつも
あたまの うしろに ある 空間
そっか 拭え 拭えよ
どっか 拭え 拭えよ
実際 いつも こんなに言っている
不安 不安 不安
(08.FALL)
(脱線:マキシマム・ザ・ホルモンも方法は違えど
結果的には同じような効果を得られる歌詞になっていると思います)
この、よく言えば「聴く人に解釈をゆだねた」「自由で」「ゆるい」、
意地悪な言い方をすれば「分かりにくくて」「おきて破りの」「ふわっとした」
歌詞をどう受け止めるかで、group_inouの評価は大きく変わるかと思われます。
……というわけで。
今回の「FAN」はファーストアルバム。
以前聴いたサードアルバムと比べると、
よく言えば「統一感がある」、意地悪な言い方をすればやや「単調」な曲が10曲続きます。
(この比較の仕方、結構気に入ってます)
ただ、それだけにgroup_inou入門としては、
これを通して聴けばある程度自分と合うか分かるはずなので、
とりあえず通して聴いてみることをオススメします。
あと、自分の場合は「通勤中に聴く」というルールなので難しいのですが、
歌詞を見ながら聴いて噛みしめながら聴けば、
2~50倍は楽しめる可能性があると思います。
★今回のMVT(Most Valuable Track)
04.PLANT
最初のベースラインが好きです。
この「ただオクターブで上下して進行するだけかと思いきや、違う」系の
ベースラインに弱いみたいです。
参考
↓以下、箇条書きで雑感
・男性器を表す単語がやたら出てくる
・MC担当のcpが加瀬亮に似ていると言われているらしい
・妻いわく、「ライブでは変なロボットダンスをする」
・何故かアルバムには入っていない超名曲「coin」
臨機応変 末に 最初の形を忘れてしまい
到底届かない この繰り返し 今涙し
長くなってしまいましたが今日はここまでにします。
多分毎日この分量ではやりません(時間がかかりすぎるので)。
フロフロ